僕の考えるインド

今、僕はインドにいる。ここに行こうとずっと前から計画を練っていたわけではなく、オーストラリアの物価が高過ぎて逃げてきたような形でここにきた。

インドは世界一物価が安いのではないかと言われるくらい他と比べると物価が安い。

コーラが30円とか80円とかで買えたりする。(場所によって値段が違う)

食事も街角で値段を見てみると40円とかで食べれたりするから、満腹になりたければ300円もあれば一食が済ませると思う。

でも、僕はあまりそれらを食べない。お腹を壊すのは嫌だし、一度経験したが、現地の人々は真っ黒な汚れた手で食材をもりつけたり袋詰めする。

ここでは当たり前のことでも、僕にとっては受け入れられない。

それを受け入れるにはまだ時間がかかりそう。

インドに来ると漠然とした恐怖に襲われることがある。電車に乗るとき、道を歩いている時、それらの時に背後が気になったり人が密着すると自分のものを取られるのではないか?と勘ぐってしまう。

僕がここに来る前に先進国のオーストラリアにいたということ、そして下調べをしたYoutubeではインドの悪いところばかりが目立ていたこと。

それらがあいまって僕の中のインドは警戒するべき場所になっていた。

だから僕は最初にインドのタクシーに乗ったときに運転手と早速口論になった。

運転手はメーターを使わない。それどころかメーターすらついていない。僕は発車する前に髭もじゃのインド人が値段を提示してきたのですぐにこれはぼったくりだと考えた。

5分くらいあーだこーだと言い争い。結果、髭のインド人が提示した金額は適正に限りなく近いことがわかった。

最初から疑って申し訳ない。そんな気持ちになった。

そんなこんなをしていると時刻は深夜1:00到着の飛行機がもともと遅かったのだが、警戒し過ぎてタクシーに乗るのにも時間をかけていたのでこうなってしまった。

僕はAirbnbで予約していた場所へ向かった。

住所はなんとなくの場所しかわからず。

到着した場所は近くに目立つお店も何もなく暖色のライトがポツリポツリとあるだけの荒廃しかけている住宅地だった。

心配したヒゲの運転手は僕に尋ねた

「君はどこに行くんだ?」

僕にもわからない。でも、この辺に泊まる宿があると伝えた。

彼はそれを聞くと一緒にさがすといい、タクシーから出て行き道ゆく人に話しかけ聞いてくれた。

でもなかなか見つからない。30分くらいして僕はオーナーから電話番号を聞いていたことを思い出した。

ヒゲの運転手にこの電話番号に電話してくれと頼むと彼はすぐさまかけてくれた。

そのおかげで僕はなんとか初日から路上生活をすることから逃れることができた。

部屋のベッドに寝そべり、この出来事のことを思い返していた。

「ネットが繋がらない時代の宿探しはこんなにも大変だったのだろうな、そして、宿を探すということ一つをとってもこんなにも手間がかかり、多くの人の協力が必要なこともあるのだと。現代ではネットさえあればどこへ行くにも誰の助けも必要ない。でも、人と何かを一緒になって協力してやるのとしないのではこんなにも達成感が違うのかと」

僕はこの時、妙な達成感と充実感を感じていた。

詐欺師だらけのインド人という偏見を持って入国して、僕は浅はかにも人はいろんな人がいて一概にも全てに当てはまらないことを忘れていた。

ここにきて初めて長く過ごした人は僕の偏見に亀裂を入れてくれたように思う。

今はとても感謝の気持ちでいっぱいだ。

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