カメラ一台と自分の身ひとつだけでイスタンブルの街を歩く今日はここでは珍しくかなり雨が降っていた。いつもは異国の人々で混雑しているイスティクラル通りも今日はかなり空いている。
こんな日にはいつもとは違う写真が撮れると僕はワクワクしていた。
雨が降ると険しい顔をしている人もいれば、楽しそうに傘をシェアする人もいる。僕はいつもとは違う街のドラマを見ているように感じた。
雨宿りしながらタバコに火をつける人、傘も使わずにびしょ濡れになっている人。地面にぶつかり音を立てる雨、その中をゆっくりと走るノスタルジックトラム。
どれを見ても僕には新鮮だった。
僕の相棒のFUJIFILM Xpro3は雨に濡れながらも、黒いボディーを輝かせているように見える。
僕もお尻を濡らしながら、人や風景の撮影にのめり込む。
こうしているといつも思う。
このカメラを持っているとない時よりも自分という人間が確立されていると。
カメラを持っていない時僕はなんだか物足りなく感じる。
このカメラはそれだけで僕の理想に近づけてくれるし、この街をよくうつしてくれる。このカメラのおかげで出来た出会いもある。
そして、イスタンブルは雨でも僕を魅了する。
道ではロシア語、トルコ語、英語に、フランス語、ドイツ語などいろんな言葉が聞こえる。ここはやっぱり文化の合流地点なんだと思う。
寝る前にカメラの中に残る写真たちを眺める。
僕はこの時間がとても幸せだと感じる。自分の見た景色をその後も見て感じることができるのだから。