東京に住み始めてから早いものでもうすぐ3ヶ月になる。
東京と言っても僕が住んでいるのは東京の端にある高尾山に近い地域だ。
アパートからの眺めは東京の馴染みある高層ビルの景色ではなく、見渡す限り一軒家とその奥にそびえ立つ高尾山の姿。
ここを東京と呼んでいいのか?と思うくらいに東京らしくない景色しかない。
だから、僕は東京都心に行くことを旅と言っている。
電車では1時間ほどで行けるのだけど、距離にすると40キロくらいあるらしいから。
あぁ、本当に遠い。
休みがあれば都心に出向いて写真を撮りながらふらふらと歩き回るのだけど、その時の相棒はFUJIFILMのミラーレスカメラ、Xpro-3だ。
このカメラはいろんな人が良いと言っているカメラだけあって遠くに持って行くにも、近所をなんとなく歩き回る時でも持ち歩くのにちょうど良いカメラなんだ。
そして、なんと言ってもビジュアルがカッコいい。
僕はこのカメラが出てから2年半くらい立って新品を購入した。
その時にはもっと性能の良いカメラはいくつもあったのだけど、新宿のヨドバシカメラで色々比較しながら悩んで結局ビジュアルでXpro-3を購入した。
それからというもの、僕はどこに行くにもxpro-3を持ち歩くようになった。
時には仕事場にもカバンの中に忍ばせて持って行っている。。。
この日は僕が2年前に都内に住んでいた時の思い出を感じながら新宿とその周辺エリアを散策した。
2年前はカメラを持っていなくてスマホで撮っていたのだけど、今はF Xpro-3がある。
よく通っていた場所やたまに足を運んだ場所に訪れては懐かしく感じていた。
朝の5時ごろ京王線に乗って新宿までやってきた。
着いた時にはもう6時ごろでまばらだが、スーツを着た人々やキャリーバッグを持った人達が駅周辺を歩き回っていた。
新宿駅南口はバスタ新宿もあるので観光客も早朝から多い。
日本各地に旅をする人々や帰ってきた人々が集まる日本で最も忙しい駅だ。
早朝は光がとても優しいので新宿の景色がどこか静かな雰囲気に感じる。
僕は静かにXpro-3のファインダーを覗いてシャッターを切る。人々の波に紛れながら西から東へと向かって歩いた。
歌舞伎町もまた深夜の喧騒から解放されて朝の静けさがあった。
こんなに多くの人がいる新宿でも早朝となるとこんなにも静かになるのかと少し心が穏やかになる。
それもものの数時間のことだけど、どんなことにもオンとオフがあるのだと感じてしまう。
新宿から歩いて西新宿を抜けて中野坂上へ向かった。
ここは僕が2年前に働いていた店舗がある。
気になって行ってみた。
以前の同僚はここでまだ働いていると聞いたので顔を見に行こうと思ったのだけど、店の扉には定休日と張り紙がされていた。
僕はいつもこんな感じだ。ドキドキしながらその場所へ向かうと拍子抜けするほど呆気ない結末がよく起こる。
少し残念だと感じつつ空を見上げると現代的なビルの建築物に思わずカメラを向けた。
xpro-3はその見た目だけがカッコいいのではなく、写真もしっかりと映し取ってくれる。
そこが良い。
中野坂上駅から少し歩くと大通りのすぐそばにお寺が見えたので行ってみることにした。
住んでいた時はあまり気にもしなかったのに、Xpro-3を持っていると写真に収めたくなる景色だった。
小さな境内だけど綺麗に整えられていて心が安らぐ場所だ。
三重塔の写真を撮って中野駅の方向へ向かった。
中野坂上駅から中野駅までは歩いて30分くらいだろうか。
新宿から少し離れているけど歩いて行けない距離ではない。
その間もXpro-3を首にかけているけどそこまでしんどくはならない。
ボディーがそんなに重くないのでレンズ次第ではかなり旅にも向いているかもしれない。
でも、今は100VIやX-M、X-Eなどの軽量化モデルもでているので2019年発売のXpro-3は中途半端なカメラになってしまったのかもしれない。
でも、僕は背面モニターが無いのもフィルムカメラを思わせるようなレンジファインダーカメラなのも使っていて飽きなくてとても好きだ。
写真を撮りたいとモチベーションを上げてくれるカメラというのはとても良いカメラなのではないか?
中野駅まで来ると少し疲労感が増していた。
でも、中野はカメラを持って歩いていると撮りたいものがたくさん出てくる街なのでいろんなものにカメラを向けてしまった。
駅の開発も進んでいるし、サンモールやそこから枝分かれしている独自の飲食店も魅力的な街だ。
夜になればサラリーマンが大勢集まるのだろうけど、今回はそこまで中野にいるつもりはないので夜の街は今度撮ろうと思った。
でも、夜の姿を想像するとワクワクして待ちきれない。
こんな時にパッと決断できればいいのだけど、あいにく夜遅くに新宿駅から立ちっぱなしで1時間以上電車に乗るのは嫌なので今回は見送ることにした。
新宿に戻ると雨が降った。待ち合わせていた彼女と合流して食事に向かいながらXpro-3で雨の日にしか撮れない新宿の景色を撮り歩いた。
すまぬ、彼女さん。
カメラをする人ならわかると思うが、カメラマンでない同行者を僕らは待たせがちだ。
僕が良いものを見つけると急に止まるので彼女も同じように止まる。
彼女の方は何かをするわけでもなく、写真を撮る僕をただ黙って見ている。
身勝手だが、その視線には気がついているのだよ。
少し気まずいと感じながらも良い光景に出会ったら立ち止まらないわけにはいかない。
だから、すまぬ。
しばらく雨の日はカメラをする人にとってはワクワクする日でもあると僕は思う。
というのもXpro-3を使っているからだろうなって思う。
多少の雨では故障しないし、耐塵、耐滴機能も付いているから雨の日でも土砂降りでない限りこのカメラを持って出ようって思える。
そんなところもこのカメラの魅力だと思う。
僕らはしばらく新宿の街を歩いて食事をしに行った。
料理が来るまで時間が少しあったのでその時に向かいに座る彼女の写真を撮った。
写真が苦手だというわりには良い表情をしてくれるのが彼女の特徴だ。
僕の腕が良くなくても外国人特有の目鼻立ちの良さが絵を綺麗にしてくれるのかもしれない。
ありがとう。本当にそう思うよ。
Xpro-3を持っていると旅が通常より楽しくなると思っていたけど、最高に楽しくなると言った方がいいかもしれない。
ドキドキフルサイズ機に憧れるけど、それよりも新しいレンズでこのカメラの良さをもっと知りたかったりする。
ものには必ず良し悪しがあるもので、旅が好きな僕にはXpro-3がかなりあっているのだと思う。
このカメラを持っていると次はどこへ旅に出ようかと考えてばかりだ。