東京には成人してから何度も訪れているし、数年間東京に住んでもいる。
なのに、いまだに東京という街を僕は知らない。
毎週違う街に行っては東京にはこんな顔もあったのかと思ったりする。
僕には好きな場所には何度も行くという習性があるので他の場所に行く機会がなかったということもあるのだけれど。
それは置いておいて。
今回は上野のアメ横と上野公園に行ってみることにした。
珍しく今回は1人ではなくて、外国の友人が僕と同行してくれたのでとても楽しい旅になった。
見え方が変わると不思議なアメ横
アメ横にはウズベキスタンの友人と一度訪れた後、僕は友人と解散した後に深夜また訪れた。
そして、早朝の姿も見たくなり、ネカフェで数時間滞在して朝アメ横を歩いてみた。
他のアジアの国へ来たのかと思うほどに中国やベトナム、タイ、トルコなどの料理屋が乱立している。
店の軒先に並べられている食材なども見たことないものもあった。
写真を撮るためにいろんなものに目が行くので観察しながら歩くのはとても楽しいと思った。
でも、一つ気になったこと。
日本人よりも外国人がいる方が多く感じたし、治安が良くないイメージもあった。
僕が通りで写真を撮っていると店の従業員らしき人が出て来てカメラに中指を立てていた。
これには少し残念。
外国の人に偏見は持ちたくないけれども、このようなことが一つ起こるだけで外国人に否定的な印象を抱いてしまう。
うん、まぁ、仕方ないことだ。
深夜は少し身構えるほど不気味な通りに変わっていた。
人通りは少なく、暗い。
深夜帯には友人を誘って来なくてよかったと思ったほどだ。
酔っ払った学生たちもいたりして、見てる分には面白いこともある。
人も少ないのでゆっくり写真を撮れるのは僕に撮ってはよかった。
日本は治安がいいと言われるけど大きな都市ではそれなりの警戒が必要だと思う。
早朝。ネカフェから出ると薄い水色の空が広がっていた。
蒸し暑さもなく良い天気だ。
通りも静かで早朝のあの心地よさをここでも感じられる。
開店準備のために通りのあちこちで従業員が作業を始めていた。
ゴミの回収や商品の搬入など。
早朝に自分の知らない街を歩いていると旅をしている時の感覚を思い出す。
知らない土地を1人で歩いている時も、誰かと旅をしている時も朝早く起きて朝食を食べに行こうと話しながら開いている店を探したりするあの心地よさを思い出す。
この景色を友人にも見せてあげたかったなー。
また今度誘ってみよう。
カメラを手に持って自分の思いにふけってアメ横を見た。
ここは旅の目的地でもあり、誰かの日常も含んだ街だ。
それは当然か。どこであれ旅先は誰かの日常でもある。ここに来れたことに感謝しよう。
なんて朝だから少しカッコつけた思考を巡らせた。
東京にこんなものがあるなんて。上野公園。
上野公園を友人と歩きながらここにはいろんな動物がいるねと話し合っていた。
池のほとりに設置されている説明書きにビオトープと書かれているのがなんだか良いと感じた。
ビオトープという言葉が僕に響いたのか。
それはどうでも良い。
少し歩くと池の広がる景色が蓮畑に変わる瞬間も好きだ。通りを挟んで国立博物館まで行く道も趣があって気に入った。
でも、1番はここに一人で来ていないから楽しめたのかもしれない。
友人と初めて訪れる場所をここは良いところだねと共感し合えたこと。
それが僕は楽しかったのかもしれない。
上野の旅を終えて
上野を旅して当たり前のことに僕は気がついた。
1人で写真を撮りながら歩くのも楽しいけど時々、時々でいいから誰かと時間を過ごすことも忘れてはいけない。
友人と歩いて上野公園を見て、アメ横を歩いていると僕では気が付かないことに友人が気がついたりする。
友人が居酒屋を見てこれは私がドラマを見て憧れていたアジアの姿だと言った。
日本の若者には忌み嫌われる労働後の飲み会。
それを異国の人間は自分も参加してみたいと憧れを持っていた。
居酒屋内部で起きていることは必ずしも美しいことではないけど、外から眺めればそれは美しいものにも見える。
僕たちは自分たちの文化に誇りを持ちつつ、どうやればそれが自分たちも楽しめるか考えないといけない。
最近日本の文化に興味を持って僕もそれに触れてみた。
その文化の一つ浮世絵を日常的に話題にあげる日本人は皆無だ。
僕たちはその魅力に全く気がついていない。
でも、外国の人々はそれに刺激を受けて国へ持ち帰り、浮世絵を参考にしたり、アートとして大切に保管したりする。
僕はよく外国に行くから外から日本を眺めることが普通の人より日常的になっていた。
だから、外国人目線で自分の国を見るように心がけているのだけど、知れば知るほど日本の文化を守りたいと心の底から思う。
今回上野でもそのような瞬間を多く見つけることができたし、とても楽しかった。
また行きたい場所の一つになった。